
プランナーとしてゲーム業界で働きたいな~
・ゲームプランナーの仕事内容を知りたい
・どうすればゲームプランナーになれるの?
・ゲーム会社の社長の書いた記事ってどんな内容なんだろう?

こんにちは!
この記事を書いている僕は、ゲーム業界歴20年でゲーム会社の社長をしています。
経歴:プランナー→ディレクター→プロデューサー→社長(起業)
僕は企画職出身で4回の転職経験があり、応募側と採用側の両方を経験しています。
ゲーム業界人であるプランナー出身のゲーム会社社長がゲームプランナーの仕事内容、必要なスキル、平均年収、キャリアップについて解説します。
この記事を読むと、他サイトのパクリ記事には書かれていない、リアルなゲームプランナーの仕事がわかります。
ゲームプランナーとは、企画書だけを作る人ではない

ゲームの企画書、仕様書、データ作り、デバッグなどを担当します。
ディレクターのアシスタントとして、絵とプログラム以外の雑用をなんでもやります。
「ゲームプランナー」の職種の呼び方は会社によって、企画職、プランナー、ゲームデザイナーと呼ばれています。

「ゲームクリエイター」という呼び方は、ゲーム業界外の人向けにディレクター、プロデューサーが使うことが多い印象です。
ゲーム専門学校の闇として、絵も描けない、プログラムもできない、なんにもできない人が目指すのがゲームプランナーだったりします。
ただ、本当に何もできない人の99%はゲーム会社の採用試験で落ちますが、運良く入社できても雑用ができない人は辞めていったり、下っ端プランナーとして会社にしがみつくことになります。
ゲームプランナーの仕事内容

ゲームプランナーは「ゲームの企画を考える仕事」というイメージがありますが、企画書を作る仕事となると全体の0~5%くらいです。
仕事のほとんどは仕様書を作る、データを作る、デバッグをすることばかりです。
コンシューマー(家庭用)やソーシャルゲームの開発費は数千万円、大規模なタイトルならから数億円はかかるので、自分の企画がゲーム化されるプランナーはほんの一握りです。
スマートフォンのアプリであれば、数百万円で作れるのでハードルは低いです。

僕の場合、モバイル系ゲーム会社の期間が長かったので、オリジナル企画はたくさん作らせてもらえました。
仕事内容を大きく分けると次のようになります。
①企画書を作る
定期的にある企画会議に向けて、空き時間や担当するプロジェクトが一段落した後に企画書を作ります。
企画書にはゲームの面白さや売れる根拠のデータ、ゲーム画面のイメージなどを盛り込みます。
会社によっては、ペライチ(企画書1枚だけ)から数十ページあるものまで様々ですが、まずは1~3枚の企画案を作り、同僚や上司の意見を聞いてから、内容を詰めていくのが賢い方法です。

まあ、プランナーは自信のあるアイデアを中途半端な状態で否定されたくないので、作り込んでから見せたがるサガなんですけどね。
ゲームは「面白い」「売れる」など、お客に評価されることが必要ですが、開発してリリースする前段階の企画書だけでは誰にもわかりません。
つまり、決定権を持つ人(プロデューサーや部長など)に、「面白そう」「売れそう」と想像させることが企画を採用されるポイントです。
メインプランナーの経験をしている人の企画が通った場合は、ディレクターを任されることもあります。
②仕様書を作る
開発ライン(プロジェクトとも言う)での最初の仕事は仕様書(ゲームの設計図)を作ることです。
企画書段階では、おおまかな概要やゲーム画面しかないので、具体的なゲームシステム、スタート画面からゲームクリアまでの画面の流れなど、あらゆることを書面化します。
・コンセプト
・世界観作り
・ゲームシステム
・ゲーム画面の設計
・メニュー画面(UI画面)の設計
・キャラクター
・フローチャート(画面遷移)
・ステージ数などのボリューム
・データ作りの構成
・パラメーターの設計
・必要なグラフィック、サウンドのリスト
③データを作る
RPGであればマップ、主人公や敵のパラメータ、会話テキストなどのデータを作ります。
もちろん、デザイナー、プログラマー、シナリオライターがベースになるデータを作りますが、これらの職種でない人でもできるデータを組み込む作業(雑用)や細かい調整はプランナーが担当することになります。
データ作りで、デザインやプログラムの問題があったり、調整が必要な場合、デザイナーやプログラマーと直接やりとりすることがあります。
(規模が大きな開発ラインだと、ディレクターやメインプランナーが担当)
④デバッグ
定義は会社によってバラバラですが、メインのゲームシステムと一通りの画面とゲームバランスの調整ができたらベータ版として、デバッグやゲームの面白さの検証を行います。
バグと呼ばれる不具合を見つけたり、面白くする修正点などを考えて、クオリティーアップをして、再び、仕様書と作る→データを作る→デバッグを繰り返します。
終盤になると、外部会社のデバッガーと協力しながら大人数でバグ修正を進めていき、マスターアップとなります。
今はリリース後にデータ通信でバージョンアップができるので、ゲーム進行が止まったり、データが消えるような致命的なバグ以外であれば、そのままリリースすることもあります。
⑤運用
コンシューマーやモバイルのアプリは開発したら終了しますが、ソーシャルゲームの場合、ゲームをリリースした後が本番になるのでここからが忙しくなります。
リリース初期は、ゲーム内イベントやガチャのデータは作成済みなので、ユーザーが見つけたバグの修正がメインになることが多いです。
また、バグ修正と並行して、売上やガチャの課金率を分析しながら、仕様やイベントを作り変えることを繰り返していきます。
会社によっては、運営が軌道に乗ったら運営担当のプランナーとバトンタッチして、別タイトルの開発に参加したりします。

プランナーは20代前半の新人やお金の計算に興味がない人が多いので、収益に直接関わる仕事は少ないです。
ゲームプランナーに向いている人の特徴
①人を楽しませることが好き
ゲームプランナーだけでなく、ゲーム開発者には一番重要なことです。
人を楽しませることが好きでないと「言われたことだけをやる」「定時になったら帰る」という働き方になるので、自分の仕事を増やしてでもゲームを面白くすることができません。
人を楽しませるゲームを作りたい人たちが集まっている会社は、ほとんど完成していたとしても、もっと面白くなるとわかったら、仕様変更して毎日終電まで作り直したり、場合によってはサービス残業したりして、ゲームに魂を込めています。

ただゲームが好きなだけなら、仕事にしないで市販されているゲームを遊んでいる方がラクで幸せです。
でも、最近は儲かるからゲームを開発している会社も多く、商業ゲーム開発者と割り切って働くのも間違っていません。
②市販ゲームの改良点がいくらでも思いつく
ゲームで遊んでいて「仕様をこうすれば面白くなるのに、なんでこんな仕様にしているんだよ!」「オレならもっと面白く作れるのに!」というように、市販ゲームに不満を持っている人は、自分でゲームを作りたくなります。
③ゲーム好き
デザイナーやプログラマーでゲームをあまりやらない人はいても、プランナーなのにゲームをやらない人は、「サーファーなのに海が好きじゃない」と言うくらいありえないです。
仕事でゲームに関わっていても、仕事終わりや休日に売れていたり、開発中の同じジャンルのゲームを遊んで研究ができないと、第一線でゲーム開発を続けていくことはできません。
・ゲームシステムの説明の会話が通じない
・企画書を作ってもアイデアがかぶって不採用
・流行っているゲームのトレンドがわからない
・自分の作っているゲームの何が面白いかも理解できない
・ゲームバランス調整ができない
・デバッグでバグを見つけるのがヘタ
・デバッグで何十時間もプレイするのが苦痛になる
長時間労働ができる
ゲームの予算規模によってさまざまですが、開発期間は数ヶ月から1年以上など、長いです。
発売日・マスターアップ日は一度決めたら、会社の予算計画もあり、そう簡単にずらすことはできないので、ベータ版、マスターアップなど、設定した期日に近づくにつれ、残業時間や休日出勤が増えていき、長時間労働になります。
ゲームプランナーは仕様書、データ入力、デバッグ、バランス調整など、仕事に終わりがないので、プログラマーやデザイナーよりも働く時間は長くなる傾向にあります。
そのため、すぐに体調を崩して欠勤が多い人はチームに迷惑をかけることになり、メインのプランナーをまかされることはなく、ディレクターに昇格するのも難しくなります。
ゲームプランナーに必要なスキル

①パソコン操作
エクセル(Excel)、パワーポイント(Power Point)、フォトショップ(Photoshop)の操作は必須と言えます。
企画書の作成では、オフィスソフトのパワーポイントが使われることが多く、ゲーム画面のイメージ作りでフォトショップがよく利用されます。
仕様書の作成は、会社で統一されている場合とプランナーの自由な場合がありますが、パワーポイント、エクセルで作られることが多いです。
画面イメージについては、デザイナーやプログラマーが理解できなるならば、パワーポイントの◯や□の図形で作ることもあります。
パラメーターやテキストなどのデータ入力はエクセルを使うことがほとんです。

エクセルの関数を使えるかどうかで仕事の効率が大きく変わるので、「いちいち入力したり、計算するのが面倒だな~」と思ったら、ネットで関数を調べて使いこなすクセをつけましょう。
②コミュニケーション能力
仕様書を作るだけでは、ディレクター、デザイナー、プログラマーは仕様の内容を正確に理解してくれません。
それに、詳細な仕様書を作るために時間をたくさん使うより、簡単な仕様書を書いて、細かいニュアンスは対面して口頭で説明する方が時間も短縮できてラクなのに、正しく伝わったりします。
また、仕様変更は基本的にディレクターがデザイナーやプログラマーに指示をしますが、プランナーが指示をする場合、相手が不機嫌になったり、怒って対応してくれないときもあります。
そんな場面で、仕様のイメージを正しく伝えたり、気持ちよく仕事をしてもらうためにも、コミュニケーション能力は重要になってきます。

コミュニケーションが苦手な人でもプランナーにはなれますが、ディレクターに昇格するのは難しくなります。
③アイデア力
何が面白いか、どうしたら面白くなるかをひらめく能力です。
企画書を作るには必須ですが、仕様書やデータを作る段階でも、アイデアやちょっとしたゲームシステムを付け足したり、面白くするための仕様変更を考えるには必要なスキルです。
アイデア力がないと、データ作りやデバッグだけを延々と担当することになります。
④ルール作り
スポーツやカードゲームなど、「ゲームを面白く成立させるためのルール」を作るセンスです。
サッカーを例にすると、ボールを手で抱え込んでもOK、100人いてもOK、武器で相手を殴り倒してもOK、時間は無制限など、ルールがないと何も面白くはありません。
ルール作りは「制約を作ることで面白くする」「メリット・デメリットのバランスが釣り合う」など、ゲームシステムを作ったり、ゲームバランスを調整することにつながります。
ネットでゲームプランナーに必要なスキルを調べると「論理的思考」とか書かれているコピペサイトが多かったので、見たときには『えっ?』と少し失笑しました。
ゲームシステムの矛盾点を見つけるとかで、論理的思考があると武器になりますが、プランナーなら感覚的な思考が重要かな~と僕は思います。
論理的思考はディレクターやプログラマーが担当してくれるし、そもそも、ゲーム業界で論理的思考がしっかりできる人は10%未満です。
昔の同僚にいた、自称「論理的思考・理論武装のプランナー」と会話をすると、ただの屁理屈だったり、否定するだけの使えない人が圧倒的に多かったです。
ゲームプランナーのスキルについては関連記事:ゲームプランナーに必要な・有利なスキル【ゲーム会社社長が解説】をあわせてご覧ください。
ゲームプランナーの楽しさ・やりがい
人それぞれなので何とも言えませんが、私の場合は自分の作ったゲームで遊んで楽しんでもらえることが大きなやりがいです。
ネットなどで、サービス残業して追加したアイデアを面白がってくれている書き込みを見ると、苦労もむくわれます。
また、ゲーム開発はチームプレーなので、みんなで完成させてそれがヒットしたときは大きな喜びになります。
ゲームプランナーのキャリアアップ
プランナーは下記のようにステップアップするのが一般的です。
一般プランナー
▼
メインプランナー
▼
ディレクター
ゲームプランナーの年収は300~400万円

経歴と会社によってはさまざまですが、平均年収は350万円くらいです。
大手企業であれば600万円だったり、ソーシャルゲームでヒットすると、特別報酬のインセンティブを合わせて1000万円にいく会社もあります。

たまに「経験を積めばフリーランスで働ける」という記事を見かけますが、下請けの開発会社にしがみつくだけの不安定な仕事になるので、だまされないように気をつけましょう。
スキルの高いプログラマーや人気絵師と呼ばれるデザイナーであればフリーランスでも十分に稼ぐことはできますが、プランナー&ディレクターのフリーランスは厳しいです。
ゲームプランナーの年収アップする方法については関連記事:ゲームプランナーが年収をアップする方法【ゲーム会社社長が解説】をあわせてご覧ください。
ゲーム会社のプランナーになる方法
一番のおすすめは、偏差値の高い大学に入学して、新卒で大手ゲーム会社に入社することです。
大手ゲーム会社であれば、ゲーム開発のレベルが高いので成長することができ、実力も身につくので転職もしやすいです。
ただし、それが実現できるのは上位数パーセントの人だけなので、あまり現実的ではありません。
次におすすめするのは、一般的な大学に入学して、そこそこ規模の大きいゲーム会社に新卒入社することかなと思います。
大学に進学しなかった場合
では、大学に入れなかったらどうすれば良いかというと、小さいゲーム会社の正社員かアルバイトとして入社して、ゲーム開発を経験することが良いです。

ゲームプランナーを目指す人はゲーム専門学校は意味がないのでおすすめしません。
上記に書いた「ゲームプランナーに必要なスキル」は専門学校で学ぶものではないので、小さいゲーム会社にアルバイトとして働いた方が、お金をもらえる上、早く実力が身につきます。
社会人経験はあるけど、ゲーム業界未経験の場合
社会人経験のない人でもゲーム会社のプランナーになることはできますが、異業種でゲーム開発に役立つ経験やスキルがあると転職が有利になります。
未経験でもゲーム業界に転職するコツを下記の記事でまとめているのであわせてご覧ください。
コメント